高齢猫が鼻炎と診断された体験記

猫の鼻炎、猫の鼻血

うちの猫Mさんは推定14歳のとき、鼻水・鼻血の症状があり、鼻炎と診断されました。

猫の鼻炎はあなどっちゃいかんらしいです。結論からいうと、この話のおよそ2年後、じつは鼻腔内腫瘍(がん)だったと発覚して、いまは別の治療を受けています。

猫の鼻炎で悩んでいる方、治療してるけどどうも治りが良くない、そんな方達の参考になればと思って書きます。

発端: 変なくしゃみ&鼻血(っぽいもの)

ある日気づいたのは、Mさんが妙な連続くしゃみをしていることでした。最初は一時的なものかと静観していたのですが、2週間くらい毎日見かけるようになります。

そのうちに鼻血のようなものを出しました。いわゆる鮮血ではなく、血が混じったような赤みを帯びた鼻水、とでもいいましょうか。

病院へ相談→即刻CT検査を言い渡される

さすがに心配になったので近所の動物病院へ行ってみました。薬など出されて終わりだろうなーと思っていたら、先生の表情が予想外に深刻でした。

先生曰く

「ヒトはのぼせた程度でもすぐ鼻血が出るものだが、犬や猫はそうではない。鼻血は深刻な病気のサインになることがある。いちばん怖いパターンでは、鼻にできるがんもある。

14歳と高齢なこともあって心配なので、CTと組織検査を受けることを強くおすすめしたい」

その病院には設備がないので、二次診療専門病院を紹介してもらうことになりました。

二次診療専門病院でのCT検査&組織検査はこんな感じ

二次診療専門病院は先生に予約を取ってもらう必要があります。希望の日を伝えて連絡してもらいました。ここで、費用が10万円以上かかることを知らされます。ウオォ!!

予約当日。事前に指示されますが、ゴハンの量調整などがあります。CT検査には全身麻酔が必要なんですよね。

二次診療専門病院に到着。めっちゃくっちゃオシャレな建物です。まずは「今日何をするか」の説明を受け、同意書へのサインをしました。

処置の時間は数十分だが、麻酔が覚めるまでの時間が必要なので、ここで猫さんを預けてヒト共は退出、3時間後にまたお迎えにきます。

診断は「鼻炎」

お迎えに来ると診察室に通され、CTの画像を見せてもらいつつ詳しい説明を受けます。

結論は「鼻炎」とのこと。画像では右の副鼻腔(鼻の奥にある空間)が詰まっている様子、でも腫瘍は見当たらない。全身の画像(CTは頭部だけじゃなく全身を撮る)をみても、他の臓器も全く異常なし、というお話でした。

組織検査は、検査機関に送ってやってもらうので、結果がわかるのはおよそ1週間後とのこと。

1週間後、検査結果がかかりつけの先生を通じて知らされました。がん・腫瘍を示す要素は見つからない、という結果でした。

鼻炎の治療

ここからの治療はまたかかりつけ医院で進めることになります。色々試してもらうも、目に見えて良くはなりませんでした。このあたりでヒト側の事情で転院しました。

抗生剤や抗ウイルス薬の投薬

感染症では? とのことで別の検査も受けますが、これも否定される。

抗生剤や抗ウイルス薬をコンスタントに飲んでもらったところ、血混じりだった鼻水が透明ぽくなってきたりと少し変化は見えます。

が、鼻水やくしゃみが完全になくなりはしません。

「鼻炎が完治することは難しい。一生付き合っていく必要があると思われる」

そういう説明でした。

そう言われたので、私たちも鼻炎と信じ、指示通りに投薬を続ける日々が続きました。

自宅でネブライザー

またこのころ、自宅でネブライザー治療をやっていました。これで鼻炎症状がなくなるわけではないものの、猫さん本人は一時的にでも鼻が通ってスッキリしているように見えました。

ネブライザーの話はまた別記事で書きます。

鼻炎ではないのでは? と思ったきっかけ

そうやって鼻炎の治療を1年くらい続けていたわけですが、あるとき、左の目頭あたりが腫れてきたのに気がつきました。

しかし腫瘍の証拠は見つからず

このとき通っていた病院では簡易CTが可能だったので、検査をお願いしました。合わせて細胞検査も。しかし腫瘍の証拠は見つからず。やはり重い鼻炎としか言いようがない、という結果です。

その後も急に腫れが大きくなったり(数日すると元に戻ったりする)、鼻血を出したりということがありました。

しかし病院では、これ以上踏み込んだ検査をあまり強く勧めてはこなかったのです。「また二次診療専門病院で検査を受けてきてもらうほうがいいのかもしれないけど、これまで二度もCTをやって腫瘍の証拠が出ていないので……」と。

この時期の対応を後悔している

私は、この時期のことをものすごく後悔しています。「鼻炎」という診断を信じきっていたことを。

医師の対応が間違っていたのでは? と思う人もいるかもしれません。でも、そうだったとしても、私の決断さえあれば前に進めたはずです。

もしこの頃にがんを認識できていたら、この頃にがん治療を始めることができていたら、今ほどひどくはならずに済んだかもしれません。

もしもしたられば言ってもしかたないけど、せめて、この体験が誰かの役に立ってくれ……。そう思ったんでこの記事を書いてます。猫さんの飼い主のみなさん、セカンドオピニオンを躊躇しないで。マジで。

鼻炎ではなくて、鼻腔内腫瘍だった

引き続き鼻炎としての治療が続きました。ステロイドを使うと一時期腫れが引いたこともありましたが、しばらくするとまた腫れてくる。さすがにこれはもう、と思いようやく私は別の病院に連絡を取ったのでした。

そこでの検査で、はっきりとがんの診断がつきました。現在は放射線治療の途中です。

なぜ今まで発覚しなかったんだろう?

今振り返ると、最初にCT検査を勧めてくれた医師の予想が当たったことになります。

「犬や猫にとって鼻血は深刻な病気のサインになりうる。いちばん怖いパターンは、鼻にできるがん」

それにしてもわからないのは、これだけ検査をしてもがんの証拠が見つからなかったのはなぜ? ということです。初めに鼻水が出て、初回のCTで「詰まっている」と言われたのが右側で、腫れは左側、これも不思議。

鼻血を見てすぐに受診したのに、最終的にはがんの悪化に至ってしまった。回避ルートはあったのだろうか?

私のような素人が考えててもわからないので、機会があれば医師の協力を得て検証してみたいと思ってます。

結論: 猫さんの鼻炎、あなどるなかれ

Mさんは今後の猫生をがんとともに生きることになりました。治療中ですがまだ鼻水は相変わらず出るし、顔の腫れも完全にはひかないままです。

が、さいわい、Mさんの日常生活は相変わらずでして、ゴハンもモリモリ食べています。

あのまま転院せず鼻炎と思い込んだままだったら、今頃どうなっていたか。想像したくありません。

たしかに動物病院の検査費用は高い。でも、お金なんてまた稼げばいいんです。猫さんの命はたったひとつです。

猫の鼻炎はあなどってはならぬのですよ。私とMさんの体験が誰かのお役に立ちますように。長寿と繁栄を🖖